トラネキサム酸にはどんな副作用があるの?

 

トラネキサム酸は止血作用や抗炎症作用などがありますが、美白やシミ・肝斑を改善するための医薬品としても使用されています。また、トラネキサム酸には副作用もすくなく、市販薬なども販売されていますが、副作用がまったくおこらないともいえません。

 

ここからは、トラネキサム酸を服用するなら知っておきたい

 

  1. トラネキサム酸にはどんな副作用があるのか
  2. 注意するべきことはなにか
  3. こんな症状は副作用かも?

 

という3つの疑問について見ていきましょう。

 

目次

 

トラネキサム酸の副作用はどのくらいの割合でおこる?

 

トラネキサム酸は医薬品としての承認をうける際、テストをおこなっています。そこで、副作用がどのくらいの確率でおこり、頻度はどうなのか、というデータが公開されています。

 

副作用例

確率・頻度

2954例中45件

1.5%

参考ページ:トランサミン添付文書

 

↑はおよそ3000例をテストした結果です。このデータでみると副作用が起こるのは約1~2%だと考えられます。ただし、これはデータ上のことであるため、じゃっかんの誤差はあるかもしれません。

 

副作用リスクが約1~2%というのは高い確率なのでしょうか。すこし分かりずらいので簡単にいうと、50~100人服用したら副作用がでるのが1人くらい、ということです。これが多いのかすくないのかは、ほかの医薬品とくらべると分かりやすいかもしれません。

 

医薬品種別

副作用の確率

トラネキサム酸

約1~2%程度

抗生物質(クラビット、クラリスなど)

約3~4%程度

抗炎症・鎮痛剤(NSAIDs:ロキソニン、ボルタレンなど)

約3~10%程度

抗不安薬、睡眠薬(デパス、アモバンなど)

約7~10%程度

プロトンポンプ阻害薬(胃酸を抑える薬)

約12~20%程度

 

比較した医薬品はひろく出まわっているものです。トラネキサム酸に副作用がでる確率は、抗不安薬・睡眠薬やプロトンポンプ阻害薬よりも低いのはもちろんですが、抗生物質や鎮痛剤よりも低いのです。ドラッグストアなどでもよくみる鎮痛剤でさえ、副作用の確率は3%以上あるのです。そういった市販薬よりトラネキサム酸のほうが副作用の確率が低く、安全性が高いといえます。

 

トラネキサム酸服用による副作用(吐き気・下痢・胸焼け)

 

トラネキサム酸を服用するとよくおこる副作用といえば、消化器系の症状でしょう。

 

0.1~1%未満

0.1%未満

食欲不振、悪心(だるい)、吐き気、下痢、便秘、胸焼け

-

 

確率だけでみるとそう高くはないですが、およそ0.1~1%というのはトラネキサム酸の副作用としては頻度が多いといえます。もし、トラネキサム酸の服用で腹痛や下痢、食欲不振などがおこったなら、すぐに服用を中止しましょう。

 

副作用として消化器系の症状が多いのはなぜでしょう。理由はさまざまでひとつに限定することはできませんが、原因の多くは体質だと考えられます。胃腸という器官はひじょうに繊細なため、ちょっとした緊張やストレスによる影響で、腹痛や下痢をひきおこしたりします。また、医薬品の効き目には個人差があるように、医薬品との相性も人それぞれだといえます。トラネキサム酸があわない体質の人が服用することで、いちばん弱い胃腸がダメージをうけてしまうことは低確率ながら起こりうるのです。

 

とはいえ、一般的な医薬品の副作用が消化器系にあらわれることは、よくあることです。例をあげるなら、アスピリンやロキソニン、ボルタレンなどのNSAIDs(解熱・鎮痛剤)などが胃に負担がかかる医薬品です。服用することで、腹痛や胃痛、吐き気といった副作用がでることがあります。よく使用される抗生物質にも、胃腸にかかわる副作用があります。つまり、多くの人に服用されている有名な医薬品であっても、胃腸系の副作用はでやすいということです。

 

もし副作用がでた場合、トラネキサム酸と併用している医薬品がないか確認しましょう。もしかすると、その医薬品のせいかもしれないからです。そうであれば、トラネキサム酸の服用を中止したとしても、原因はほかにあるのですから胃腸系の副作用はおさまることはありません。どんな医薬品でも胃腸系の副作用がでやすいということを、知っておくといざというときに役に立つかもしれません

 

トラネキサム酸服用による副作用(かゆみ・発疹・眠気)

 

ここまでトラネキサム酸による消化器系の副作用について説明してきましたが、副作用はそれだけではありません。ここからは、かゆみや発疹、眠気などの副作用について見てみましょう。

 

0.1%未満

かゆみ、発疹、眠気

 

はじめに、かゆみや発疹について解説します。ここですこし気になるのが、トラネキサム酸が蕁麻疹や湿疹の治療に使用される医薬品であるという点です。発疹などの副作用がでてしまうことに、なんとなく違和感を感じる人もいるかもしれません。そこで、くわしい症状を確認しておきましょう。

 

発疹 皮膚炎全般を指す。
湿疹 数日~1週間程度続く。皮膚の表面にじくじく湿った赤い発疹が広がり、かゆみが出る。
蕁麻疹 数十分から数時間でおさまることが多い。膨らんだように広がって強いかゆみが出る。

 

上記の表をみるとおなじような症状でも、びみょうに違いがあることがわかります。「発疹」は皮膚炎全般とかなり広い範囲を指しています。つまり、トラネキサム酸の副作用として、低確率ではあるがなんらかの皮膚炎があらわれることがあるということです。そう解釈すると、湿疹や蕁麻疹の治療につかわれるトラネキサム酸でも、皮膚炎などの副作用がでても、不思議ではないでしょう。

 

なお、トラネキサム酸の副作用として皮膚炎があらわれるのは、さまざまな要因がありますが、多くの場合は「薬疹」であると考えられます。

 

薬疹とは、体質によって起こる発疹のことをいいます。薬疹は体内の免疫機能が医薬品に過剰に反応することでおこります。医薬品があたえる影響の度合いは個人差があるものの、薬疹の副作用がでない医薬品は存在しません。服用することの多い風邪薬や抗生物質、なかにはビタミン剤であっても薬疹をおこす人がいるほどです。つまり、トラネキサム酸に限らず、あらゆる医薬品に、薬疹がでるリスクがあるということです。

 

もし、トラネキサム酸の服用で発疹がでたなら、残念ながら体質にあわなかったということです。発疹がでる確率はひじょうにまれですが、万が一副作用がでたのであれば、トラネキサム酸の服用は中止しなければなりません。

 

トラネキサム酸があわない場合、副作用が眠気としてあらわれる場合もあります。トラネキサム酸の作用で眠気がおこることはないため、眠気がでてしまったら、体質にあわないと考え服用は中止しましょう。また、眠気とは正反対に「不眠」として副作用がでることもあります。

 

こんな症状はトラネキサム酸によるもの?症状と副作用の関連は?

 

トラネキサム酸の副作用を確認したいなら、添付文書を確認しましょう。

 

消化器系の症状、発疹、かゆみ、眠気

 

↑は添付文書に記載されている副作用の症状です。ここまでに説明した症状ですね。

 

しかし、これらの症状ではない症状がでた場合、トラネキサム酸の副作用なのか不安になってしまいそうです。ここからは、副作用と判断がつきにくい症状が、副作用によるものかを見ていきましょう。

 

頭痛や肩こりは?

 

トラネキサム酸はプラスミンの働きをおさえることで止血効果を発揮する医薬品です。いっぽうで血流を悪くするという弊害がおこることもあります。その結果、肩周辺の血流がとどこおり、肩こりという形であらわれるケースもないとはいえません。

 

なお、肩こりがある人は肩周辺の筋肉がこわばっていることもあり、重症化することで緊張性頭痛にまで発展するケースもあります。

 

これらの症状がトラネキサム酸の服用によっておこることはまれです。しかし、まったく頭痛や肩こりがおこらないともいえません。添付文書に副作用として記載がないのは、テスト時にたまたま頭痛などの副作用がおった人がおらず、データとして収集できなかったとも考えられるからです。

 

肩こりがおこる原因が血流によるものであれば、血流をよくする必要があります。改善するためには、適度な運動や半身浴、血流によいとされるビタミンC、Eを含む食品を摂取するとよいでしょう。

貧血や生理不順は?

 

トラネキサム酸には止血効果があるため、過多月経などの症状に処方されることがあります。処方される理由のひとつとして、出血による貧血を改善があげられます。つまり、トラネキサム酸は貧血を防止する効果があるため、副作用で貧血になることは考えにくいといえます。

 

また、生理不順についてはどうでしょう。トラネキサム酸は止血効果のある医薬品なので、過多月経で処方される可能性はありますが、月経の血量をコントロールできるほど作用が強くはありません。そのため、効果については意見が分かれるところですが、トラネキサム酸を服用したからといって、生理が遅れたり、生理不順になるほどの影響はないといえます。とはいえ、ぜったいにトラネキサム酸のせいではないともいいきれませんし、なんらかの病気が原因というケースもあるため、念のため医師の診察をうけたほうがよいでしょう。

太ることや、体重増加は?

 

ここまで見てきたとおり、トラネキサム酸の副作用には消化器系の症状がよく見られます。それらは確率は1%ほどと低いですが、なかには食欲不振としてあらわれることもあります。ただし、食欲がない場合、体重減少となることはあっても、体重増加にはつながることはないでしょう。

 

ただ、食欲不振がおこるといっても、確率はおよそ1%以下とかなり低いものです。ダイエット目的での服用はもちろん論外ですが、「太るかも?」という心配をする必要もないでしょう。

 

もし、トラネキサム酸を服用中に体重が増えてしまったなら、原因はほかにあるかもしれません。生活習慣の変化などがなかったか、原因を探してみましょう。

 

むくみは?

 

トラネキサム酸は湿疹や蕁麻疹などの症状を改善するために処方される医薬品です。湿疹や蕁麻疹がおこる原因のひとつに「血管性浮腫」の存在があります。なお、トラネキサム酸は血管性浮腫を治療する効果もあります。「浮腫」と「むくみ」はおなじ状態であるため、むくみの治療に効果を発揮することはあっても、副作用としてむくみがでるとは考えにくいといえます。

 

もし、「トラネキサム酸を服用してむくみがでたらどうしよう?」と考えているなら、心配する必要はないでしょう。むくみやすい体質の人がむくみやすくなる可能性はあるかもしれませんが、確率はとても低いため、めったにないことだといえます。

 

声がれや声帯炎は?

 

トラネキサム酸には炎症をおさえる働きがあります。とくに効果があるとされているのは咽喉頭炎や扁桃炎などです。そのため、風邪によるのどの痛みや腫れの症状がある場合、処方されるケースは多いです。とはいえ、トラネキサム酸が必ずしも効果があるともいえません。ただ、のどの炎症悪化がすすめば、炎症が声帯にまでおよぶケースも考えられます。そこまで悪化した結果、声がれや声帯炎といった症状がでることもあります。

 

ここで重要なのは、声がれや声帯炎がトラネキサム酸のせいではないということです。結果として声がれや声帯炎になったとしても、直接の原因はもともとあった症状によるものでしょう。トラネキサム酸の副作用には、声がれという症状は含まれておらず、のどの炎症が悪化した結果だと考えるのが自然です。なお、トラネキサム酸の作用は炎症をおさえることはできても、炎症になった原因まで働きかけることはできません。根本的な治療のためには、医師の診断のもと、抗生物質を服用するなどして適切な治療をうけましょう。

 

めまいや耳鳴り、腎機能不全、痙攣、しびれは?

トラネキサム酸は腎臓で排泄されるという特徴をもった医薬品です。

 

そういった理由から、腎障害・腎機能不全だったり、人工透析をうけている患者さんなどはトラネキサム酸の服用によって、痙攣やしびれなどの副作用がでる可能性があります。なお、めまいや耳鳴りといった形で副作用がでることもあります。いずれにしても、副作用の症状がみとめられたのであれば、すぐに服用をやめましょう。

 

腎機能に問題のない人であれば、めまいや耳鳴りといった副作用がおこることはないでしょう。もし、めまいや耳鳴りの症状がでたなら、原因はほかのところにあると考えられます。いずれにせよ、危険な病気の兆候である可能性は否定できないため、早めに医師の診察を受けるべきでしょう。

 

トラネキサム酸はジェネリックであっても副作用はでる?

 

ジェネリックとは後発医薬品のことをさします。簡単にいうと「成分は変わらず安価な医薬品」のことです。つまり、成分が変わらないので、効果もおなじということです。とうぜん副作用についてもまったくおなじといえます。

 

もし、個人輸入などでトラネキサム酸のジェネリックを入手した場合、服用中に副作用がでてしまったら、対処法は通常のトラネキサム酸とおなじと考えればよいのです。

 

トラネキサム酸が販売されたのは1981年なので、特許期間はすでに過ぎています。そのため、販売されているジェネリックにはさまざまな種類があります。とはいえ、成分にかわりはないため「ジェネリック特有の副作用があるのでは?」と心配することはありません。

 

まとめ

 

ここまで、さまざまなトラネキサム酸の副作用を見てきましたが、副作用がすくない医薬品であることがわかっていただけたでしょうか。トラネキサム酸は副作用がでにくい安全性の高い医薬品です。副作用がでたとしても、確率は1~2%ほどと一般的な医薬品とくらべても低くなっています。とはいえ、まったく副作用がおこらないともいいきれません。トラネキサム酸を服用する際は「もしかしたら副作用がでるかも」という可能性も視野に入れ、もしもの場合にすぐに対策をとれるようにしておきましょう。

 

  1. 高齢者
  2. 小児
  3. 腎臓に障害がある人

 

なお、上記の場合は副作用になる確率が高いといえます。とくに注意が必要とされるのは血栓ができやすい高齢者です。さらに、腎臓になんらかの障害をかかえている人は、痙攣がでることもあり、服用する場合は医師の判断をあおぎましょう。健康な若い人と比較すれば危険性は高くなるため、安全に服用するためにも、事前に医師の診察をうけてリスクを最小にすることを心がけましょう。